頭の中には置き換えて表現可能な気がする想念が渦巻いているのに携帯電話のスイッチを入れるとそれを伝える手段を僕は持たないことに気がつく。
正確には持たないのではない。
それは容易に伝えられないだけで慎重かつ真剣にやれば1パーセントくらいは伝わるのだ。
時間がかかるうちに、残りの99パーセントはすっかり見失われているけれど、普通にしていたら霞のように消えるばかりの1パーセントだけはちゃんと捉えることが可能なのだ。
そう信ずる。

裏を返せばどんなに素敵なものがあふれそうなときも容易にそれを伝えられるなんて幻想を持ってはいけないのだ。
それならむしろ黙っているか、気の会う友人にだけその概要を伝えるかして、知らない人には昨日の晩ご飯の話でもして適当にあしらうのが賢明ということだ。

朗読会に向けて30枚くらいのものを書くことになった。
10枚×3セットの連作短編の予定で考えているけど今のところどうなるかわからない。
落ち着いたら各方面に連絡してちゃんと物事の進捗の足並みを揃えておかなくては。