i wish if

もがな
[終助]《終助詞「もが」+終助詞「な」から》名詞、形容詞および助動詞「なり」「ず」の連用形、助詞に付く。上の事柄の存在・実現を願う意を表す。…があればいいなあ。…(で)あってほしいなあ。
「み吉野の山のあなたに宿―世のうき時の隠れ家にせむ」〈古今・雑下〉
[補説]「もが」「もがも」に代わって中古以後用いられた。

 


言わずもがな、という言葉がある。
いつからかは知らないけれど、少なくとも今見ている限りでは、「言わないでも分かるでしょ」という意味で使われている言葉だ。

でも、「もがな」はそもそも「であればいいのに」と願う気持ちを表す。

言わずもがな。
言わなくてもよければいいのに。
言わなくても伝わってくれればいいのに。
言わなくても、この気持ちがあなたにわかってもらえればいいのに。

言わなくてもわかるだろ、という言い方は暴力的だ。乱暴だ。
言いたくないけど、言わないと話にならないから言う。
言葉足らずになってしまう可能性、納得してもらえない可能性ばっかりが、目の前に立ちふさがっていても。
言わずもがな、と唱えながら、祈る気持ちで伝える。

疲れる。逃げ出したくなる。嫌われるのも怖くなる。
本当は笑っていたいんだ。
全部抱きしめたいし抱きしめてほしいんだ。
欲深いのはよくわかってる。
だから控えめに生きている。
それでもダメなときは言葉を尽くしてみる。

やめたくなるんだ。
本当にうんざりするんだ。
それでも君のことが好きなんだ。
君といる時間が楽しいんだ。
嘘じゃない。
ごまかしはある。
ごまかして、目をつぶって、笑っていることもある。
でも、それも含めて「君が好き」と呼ぶしかないから、やっぱり僕は伝えたうえで、受け止めてほしいと願うのだ。

こんな僕を笑ってくださるな。
僕は弱い。
少し変だ。
うまくできない。
いつもぎこちない。
それが自然で、それを偽れない。
偽りきれない部分がたまって、夜眠ることができなくなる。

許してほしい。
でもそれは過ぎた願いだ。
人に対して願うには重すぎる。
僕たちはみんな不完全だ。
好きな言葉と嫌いな言葉、好きなものと嫌いなもの。
みんな心の奥底じゃはっきりしてるんだ。
だから許してとは言えない。
ごめん、でも僕の本心を言葉を伝えて述べます。
言わずもがな。
面倒くさいけど、聞いてください。