idol
2015/8/29
見る前が一番期待に燃えていたと同時に嫉妬にも燃えていた。
対バンする人たちにも。
何かが起こると、何かよ起これと。
そして何かを起こした人の輝きを目の前にしたときの自分を思うとぶっ倒れるくらい悔しくなった。
俺は世界を動かせていないのに、って。
結果何も起きなかった。
空虚な盛り上がりと病熱のようなから騒ぎがそこにはあった。
終演してからひどく醜いものも見た。
独善的なファン。
陰口なんて一番嫌いだと心から思った。
アイドルはどこまで行ってもアイドルで、中身がわからなくて、でも強固な外見と存在感を烈々と示していた。
あれがみんなの求めているものなのだろうか。
ああいうものにみんななりたいのだろうか。
俺はアイドルみたいになりたいと思っていたかもしれないけど、思っていたのも実際のアイドルのあいだには確かな隔たりがあったような気がする。
オタクになりたい、とも思ったことがある。
でもそれも違ったと思う。
あまりにも強い境界があって、群れたオタクのなかに入る余地はなかった。
オタクは死にました、という言葉がある、だからあれはオタクでさえなかったのかもしれないけれど。
そうだよね、俺は境界なんて破ってしまいたいし、でもどこまでも自分のことを突き詰めていたい。
矛盾してる。
期待を裏切られたぶん安心もあった。
こんなものか、それならまだまだやれる余地はある。
でも、やらなきゃどうしようもない。
やるしかない。それは確かだ。
ただ憂いていればいいんだろう。
憂いこそが俺の捨てられないもので、他の人と交われないものだから。
その憂いを他人に押しつけたり、憂いた姿を人に晒して「自分らしくできた」なんてカンチガイしないで。
きっといい迷惑なんだ。
そういうのはそっと胸にしまっておくんだ。
期待を裏切られることの喜びを知った気がする。
希望がなくなればそのぶん期待をしなくていいから。
本当に俺が求めていることを誰かがあっさりとやっていることに、絶望したりしなくていいから。
アイドルってなんだろうね。
努力って言葉があいまいでさ。
誰かさんがあんなこと言うから、みんなカンチガイするようになっちゃったんじゃない?
ねえ、イメージ商売で夢見さしてる人間がさ、簡単に明るいことばっか言うじゃない。